現在の仕事内容:
私は、2004年に作物学研究室で博士号を取得し、2005年に(独)農業・食品産業技術総合研究機構作物研究所の研究員に採用されました。 現在は(独)国際農林水産業研究センターに所属しています。2005年に就職してからは、稲の高温障害に関する研究を行っています。研究内容を簡単に説明すると、 近年地球温暖化でコメの収量や品質が低下しているのですが、その生理メカニズムを解明し、収量や品質に対して高温耐性を持つ稲を作出することを目指しています。
作物研で過ごした思い出:
作物学研究室の「遺伝子から群落まで」をモットーに、ありきたりのラボワークに留まらず、稲を種まきから収穫まで、植物をじっくり観察しながらデータを取っていく学風は、私に広い視野で研究を行っていく姿勢を植え付けてくれました。もちろん、その過程には成功も失敗も(失敗の方が断然多い!)ありますが、現在行っている地球温暖化における稲の高温障害の課題は、国内外を問わず、広く深い農業現場の問題で、博士課程までで学んだ知識や姿勢は現在の研究活動にも大きく役立っています。また、レクリエーションでも沖縄や八丈島に旅行に行くなど、メリハリのある研究室生活でした。
作物研を目指そうと考えている後輩に一言:
作物学研究室は農学の幅広さや面白さを教えてくれ、学生時代に何よりも大切な、知的好奇心を満たしてくれるところだと感じます。研究者になる・ならないに関わらず、作物学研究室を経験なさってはいかがでしょうか。
現在の仕事内容:
米国本社が開発したバイオ作物の安全性について、本社で作成したデータ(サザンブロット、ELISA、構成成分等)や自分で取得したデータ(草丈、交雑性等、生物多様性への影響)を申請書にまとめ、省庁に申請する仕事です。作物学、分子生物学、育種学、バイオインフォマティクス、食品化学、生物統計学等の幅広い知識が必要となりますので、毎日賢くなれるのがおもしろいです。また、仕事を通じ、世界の食糧を効率的により多く供給するのに役立っていると実感できます。
作物研で過ごした思い出:
@高二酸化炭素条件下におけるイネの生育。岩手県や中国で実験を行い、日本や中国の研究機関・大学の研究者と話したり、実験を見せてもらう機会がありました。
A田無の組換え体温室で、温室内に田んぼを作り、必要な実験器具を揃えるなど、実験立ち上げを経験しました。仕事でも、その経験を生かして同様のプロジェクトを成功させることができました。
B沖縄や八丈島への研究室旅行。
作物研を目指そうと考えている後輩に一言:
青空の下のフィールドが好きな方、食糧問題解決に貢献したい方、植物の生長を観察したい方、食べること飲むことが好きな方、是非、作物学研究室へ!
現在の仕事内容:
研究室時代の研究内容とは一転し、水産物由来の健康機能成分を活用した、いわゆる「エビデンスに基づく機能性食品」の商品開発を担当しています。マーケティング分析から企画、レシピ開発、工場生産への落とし込み、販売のフォローまで幅広い仕事を経験中です。
作物研で過ごした思い出:
作物研では、イネやC4植物、CAM植物の呼吸測定実験をしていましたが、日変化を測定するために徹夜実験もしばしば・・・。しかも、徹夜までして出したデータなのに、うまく使えなかったりすることも。そんな悪戦苦闘の日々の中で、「仕事を達成するためには、粘り強い努力が必要なのだ」ということを、身をもって経験しました。植物相手の実験は、思い通りにいかないこともたくさんあります。でも、世の中なんてままならないことだらけ。そんな中でもポジティブに根気よく取り組んでいく姿勢を、作物研で身につけたように思います。
作物研を目指そうと考えている後輩に一言:
何事においてもそうですが、理論を実践に移すときには、泥まみれになるような苦労が必ずついてまわります。作物研に入るともれなく、文字通り「泥まみれ」になる日々がやってきますが、それもin
vitroの研究成果をin vivoへ、そしてfieldへと展開させるために欠かせないワーク。みなさんの力で、世界中の人々の糧となる作物の生産性を向上させてください!
現在の仕事内容:
農学生命科学研究科を修了後、三菱商事に入社し、穀物、油脂、砂糖、肉、魚といった農水産物を扱う部署に配属されました。現在は食用油脂(大豆油、菜種油、パーム油など)を輸入する仕事等に携わっています。在学中から農産物の生産・流通等に興味がありそれに関わる仕事がしたいと思っていたので、日々やりがいを感じています。
作物研で過ごした思い出:
商社の仕事というと社内外の様々な人との付き合い(交渉から接待まで)があるので、文系色が強いと感じる方も多いかも知れませんが、いわゆる「理系のスキル」と呼ばれているものを活用することも期待されています。例えば、研究活動で培われた論理力やエクセルやパワーポイントが使いこなせるという点は、大学院で身に付いた部分が多く、現在の仕事に役立っています。また、遺伝子組換作物や商品の成分分析結果を学ぶ際には、弥生や田無で学んだ知識のおかげで簡単に理解出来ただけでなく、先輩や上司に頼られることもあります。
余談ですが、研究室の懇親会の幹事をした経験が力を発揮したこともあります(笑)。
作物研を目指そうと考えている後輩に一言:
後輩の皆さんにも是非作物学研究室で充実した学生生活を送ってください!
現在の仕事内容:
中央研究所にて、新製品の開発や既存製品の品質改良などに取り組んでいます。よりお客様に美味しいと思っていただける味や食感、また店舗でも安心して取り扱っていただける製品に近づけられるように、原材料の配合検討や製造工程の見直し、原料メーカーからの提案品の評価などを行っています。毎日のように、実際に自分の手でパンを焼いて、食べて、評価して・・・を繰り返します。製パンは職人技が光る場面が多いですが、職人技に科学的な要素をつなげていけたらいいなと思います。そして、いつか自分の開発品が役に立つ日が来るといいです。
作物研で過ごした思い出:
アットホームな雰囲気の研究室での修士2年間は、とても短くあっという間に過ぎてしまいました。学生の間は植物に興味を持っていたので、食品加工に直接関係のあることを勉強してきたわけではありません。ただ、文献からの情報収集や、試験を進めるにあたり、知らずに身についていたことが、仕事にも役に立っているなと思うことがあります。そんな時、研究室にいたときのことを思い出したりします。
作物研を目指そうと考えている後輩へ:
植物に囲まれて過ごす時間は、人生の中でもごく限られたものだと思います。植物と研究室のみなさんと仲良く、実験を楽しみつつ、学生生活を邁進してください。
現在の仕事内容:
新潟県に適する水稲品種の育種。主な職掌として、もち米の品種改良とDNAマーカーを利用した育種体制の確立に取り組んでいます。
作物研で過ごした思い出:
在学当時は、コシヒカリ/Kasalathのイネ染色体断片置換系統群を用いたQTL解析について研究していまして、コシヒカリのDNAマーカー育種に応用できる点が評価され、現在の知遇を得ていると思っています。指導教官の大杉教授はじめ多くの方々から懇篤なご指導・ご援助を賜り、随分統計学の文献なども漁り、何度も修正頂いてようやく博士論文の提出に至りました。とはいえ水稲には農閑期があり、研究室旅行では心底楽しみ尽くしましたねぇ・・・。実によい思い出です。また、作物学会では島根や沖縄など、色々な所で発表させて頂きました。講演で聞いて興味を持っていた品種を、就職した後に分譲して頂いたこともあります。泊まり込んだり、食味試験をしたり、調査旅行に出たり、存分に勉強させて頂きました。心より感謝しております。
作物研を目指そうと考えている後輩に一言:
懐の深い分野で、学んだことは必ず役に立ち、活躍できる方面も多いと思います。実際、多くの研究室OBの方にお世話になっています。ぜひ作物研で充実した研究生活を過ごして下さい。
現在の仕事内容:
中部飼料は畜産・水産用配合飼料、有機質肥料、エコフィードの製造販売を手がける総合飼料メーカーです。現在、私は家畜飼料用に仕入れられた穀物原料や製造飼料の品質検査、有機肥料の肥効試験を主に行っています。作物研でイネの研究を行っていたため、生育試験や細胞レベルでの研究などが現在の仕事に直結していると実感しています。作物研に入るまでは農業に携わったことがほとんどありませんでしたが、イネを始め様々な作物を育て研究を行う経験を通して農業に携わる仕事がしたいと思い、現在の会社に入社しました。
作物研で過ごした思い出:
私は汗を流して農作業を行うことが好きでしたので、作物研全員参加で行う春の田植えや秋の収穫などが毎年の楽しみでした。また、研究室旅行やスキー旅行などのイベントもあり、和気藹々とした雰囲気の中で充実した研究室生活を送ることができました。
作物研を目指そうと考えている後輩に一言:
これから作物研を目指そうと考えている方も研究室選びに迷っている方も、ゲノムからフィールドまで幅広い研究を行っているこの作物研で楽しい研究室生活を送りましょう。
現在の仕事内容:
現在は除草剤の開発研究に携わっています。世界の農薬市場をターゲットとし、合成した候補化合物の中から除草剤として優れた性能を持っているものを選抜します。「優れた性能」がどんな性能であるか知る必要がありますので、研究会参加や現地訪問を通して市場調査も行います。
作物研で過ごした思い出:
作物研ではイネの収量性を制御するQTLについて研究していました。「遺伝子から圃場まで」という作物研のテーマを体現したような研究で、実験室と温室、圃場を往復し、扱った材料もDNAやタンパクなどから草丈や収量まで広範にわたりました。圃場での作業と実験室での実験の両方が経験できたことで、良い意味で使い勝手のよい人間になったと思います。今の仕事も実験室、温室、圃場と飛び回りますので、作物研での経験が活かされていると感じています。知識も幅広く求められましたので、広い視野を持てましたし、自分の研究テーマ以外にも興味が広がりました。また、移植や収穫、サンプリングなど、研究室の先輩や仲間達と協力して行う作業が多かったので、コミュニケーションの取り方も学ぶことができました。
作物研を目指そうと考えている後輩に一言:
先生方はもちろん、経験豊富なポスドクや留学生など色々な方々がいますので、仲間達とふれ合うこともとても面白いと思います。ぜひ作物研に入って充実した学生生活を送ってほしいと思います。
東京大学農学部 作物学研究室
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Last Update : 201510.9